オルタナティブ
代替可能なもの、もうひとつの可能性のこと。

俺は旅をしている。何のために何をするのか、俺はそんな出そうも無い答えを求めて旅をしている。
一人電車に揺られ町に付き、そして一稼ぎしたら出て行く。その繰り返し。
未練も何も無い。ただ何かを探している。

「・・・降りる駅間違えたな・・・」
俺はいきなり降りる駅を間違えて居た。
「しかし、何にも無いな・・・」
俺は周りを見渡すが誰もいない。ただ駅があり、自動販売機があり、そして家がある。ただの町。
「・・・仕方ない、人気があるとこまで歩くか・・・」
そして俺は歩き始める。一歩一歩前に。コンクリートの地面を蹴り、前へと・・・・

「それじゃ!楽しい人形劇の始まり始まり!」
俺は今、船着場に居る。そして目の前には小さな子供達。
俺は二体のぬいぐるみを出して劇を始める。
「今日の劇は、『羽』。それでははじまりはじまり・・・」

女の子は空を飛ぶ鳥に聞く。
「ねえ、鳥さん。どうして私には羽が無いの?」
女の子は、自分に何故羽が無いのか、それがずっと気になっていた。
「それはね?自分の居るべきところにとどめるためだよ」
鳥は穏やかに、そして透き通った声でしゃべる。
自分の居場所。俺は・・・居場所なんてあるのだろうか?

俺は何時も母さんと一緒だった。母さんは優しくて・・・とても大好きだった。
ある日母さんが俺に人形劇を見せてくれた。俺は夢中になって見ていた。人形が動き、母さんの優しい声が、俺を癒してくれた・・・

子供達は口々に「面白かった」、「またやってね」といって笑っていた。
俺はそんな笑顔を見送り手を振り、今日の報酬を見た。
今日の報酬
100円=四枚
500円=一枚
十円=五枚
結構もらった。
「ラーメンセットまであと少しだな・・・」
そんなことをポツリとこぼしていると不意に頭が重たくなる。
「何だ?」
俺は不思議に思い、手を頭の方へ・・・
「く〜〜〜」という泣き声が聞こえた
「ウミネコか・・・」
すっかり俺の頭に居座って居る。正直重い・・・
ウミネコをどかそうとするが、動かない。
首を前に振る。
ボテリと落ちた。
しかしまた俺の頭に乗ってきた。
「いい加減にしろよ・・・」俺は言いながらそのウミネコをどかそうとしたとき・・・
「みっ、みつけた〜〜〜〜〜〜!!」かなり間の抜けた声が聞こえてくる。そしてトタトタと走ってくる。何かを抱きしめながら俺の方に向かってくる・・・

今思えば、コレが彼女との最初の出会いだった・・・
続く

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